治療院日誌
当院の治療内容(お灸編その2) [スタッフ]
昔々、(ひい)おじいちゃんおばあちゃんの
時代、お灸というのは、自宅でやるのが
普通・・・でした。
そのときは、今の筒状のものも
なかったですし、もぐさそのもので
やるしかないので、直接やったり
切ったショウガの上にのっけてやったり
していました。
しかし、今はそんな人も、ほぼ皆無に
なってしまい、そもそも、個人に
あったお灸を、ちぎって、ひねって
使うというのは、プロの技術なのです。
うぬぼれで言うのではなく、患者様から料金を
頂戴している以上、私どもは、まぎれもなく
プロです。その立場からお話ししますと・・
当院で、新入職員が入りますと一番最初に
するのが、もぐさの塊を、▲に形成する
という作業です。
最後には、患者様の体に置いて、火をつけ
燃やす・・ただそれだけの運命をたどる
もぐさです。
しかし!実は、かなり▲にするのは難しいのです。
大体、「そこそこ三角」の形になるまでに、
毎日毎日やって、一ヶ月くらいはかかります。
単に▲にするだけではダメなのです。
形を、できるだけ均一に。もぐさは、天然の
よもぎが原料ですので、天候に左右されたり
出来不出来、質感が毎度異なります。
形成するにあたり、形だけでなく、固めた
ときの密度、堅さも重要です。
プロとして第一歩の鍛錬です。
(鍼灸の専門学校でも、ちょっとだけ
やります。でも私は、3年の学校生活の中で
この手の▲のものを作ったことは2回ほどしかなく、
詳しい作り方は、一切教わったことがありません。)
かたまりから少しずつちぎってひねるのは、
更に途方もなく難しいです。
適当にやっているわけではなく、米粒大の
大きさで、いかに必要な熱量を適度に
与えられるか術者は考えながらやっています。
いいお灸というのは、表面だけ焦げるように
ジリジリ熱いのではなく、奥まで浸透していくような
深い熱さを持っており、熱いけれども不快では
ないという不思議なものです。
一番熱くてもチクっとする、料理中油が
はねたときのような感じ、つねられている
感じ、という表現をされる方もおられます。
いいお灸は不愉快ではありません。
私どもは、そういう感覚をねらって灸を
すえています。
ここまで、もぐさのかたまりのお灸が
いかに良いかということをお話しましたが
残念ながら、ほとんど世にある治療院から
姿を消してしまったのには訳があります。
それは、これに最大の欠点があるからです。
「煙が出すぎるし、それに伴いにおいが発生する」
これに尽きます。
現代において、煙・においが出るというのは、
本当に致命的で、せっかく治療院を構えても
周辺から苦情がでることが非常に多いのです。
そこで、それらを減らすべく開発されたのが
筒状のものだったりするのですが、
あれでは繊細な熱量の調節ができません。
誰がやっても一定の熱量が出せるのはいいですが
筒の部分が異常に熱くなり、丸い痕が
残るやけどになる方も珍しくありません。
個人的に私は、お灸をするのも、されるもの
非常に好きなので、長々と書いてしまいましたが
読んでいただいた皆様も、是非一度当院で
本来の「もぐさのみでやるお灸」を体験しに
いらしてください。
いつも自宅で筒状のお灸をすえておられる
患者様も当院に通っていただけているのは
ご本人様の体がその違いをわかっているからです。
特に冷え性の方は、季節にかかわらず
お灸をお勧めします。
(おしまい)スタッフY
Up Date:2012年04月20日(金)
by 管理者
at 10時14分